オルガン曲の作曲家リンク(Rinck)について

根岸一美です。写真でお目にかけるのは、9月6日の礼拝(日本基督教団箕面教会)で弾いた前奏曲です。

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この曲を書いたリンク(Ch. H. Rinck)について、New Grove やMGG音楽事典などに記されていることをまとめてみました。

 リンク(Johann Christian Heinrich Rinck)は、ドイツのオルガニスト、作曲家。ベートーヴェンと同じ1770年の2月18日にテューリンゲン地方のエルガースブルクに生まれ、1846年8月7日、ダルムシュタットで死去。1786年から3年間、バッハの最後の弟子といわれるキッテル(Joh. Chr. Kittel, 1732–1809)に師事した後、1790年、20歳でギーセン市の首席オルガニストに着任。1805年、ダルムシュタットに移り、同市のオルガニスト、カントル、音楽学校教師を務め、さらに、ヘッセン大公の宮廷楽団会員に任じられ、1813年には同宮廷のオルガニストとなる。リンクはドイツ中を通じて名教師と称えられ、ダルムシュタットオルガニスト志願者たちにとって、中心的な都市となった。リンクの作品は主にオルガン曲で、中でも《実践的オルガン教本 Praktische Orgelschule》op. 55(1819-21)が高い評判を得たほか、1832年から1840年まで、隔月発行された《コラールの友 Der Choralfreund》opp.101-127は多くの予約購読者を得て、同時代のコラールに基づくオルガン変奏曲集として高く評価されたとのことです。彼はマインツの出版社ショットと密接なつながりを有し、同社よりベートーヴェンの《ミサ・ソレムニス》のピアノ・ヴォーカル譜も出版しています。

 日本の教会で使われているようなリンクの曲は、初期ロマン派風の和声を使いながら、見通しのよい進行感を示すものが多く、弾きやすく、また聴きやすい曲が多いといえましょう。

 画像の曲は、木岡英三郎編『オルガン・ブック第6集 教会オルガン前奏・間奏・後奏曲集』(基督教音楽出版 1967年)からのもので、この曲集には(番号の付されていない最後の5つの曲を含む)全166曲中、リンクの曲が44曲も収録されています。この数字を見ると、リンクの曲は日本のプロテスタント教会に深い影響を及ぼしてきていることが考えられます。